BtoBメーカーのホワイト部署とブラック部署の見分け方(営業職向け)

就活(大学)

労働条件が重視する学生が近年増えてきた中で、「残業時間」というのは最も注視するポイントの1つかもしれません。
また、同時にBtoBと呼ばれる、所謂会社対会社取引の会社がホワイトだという噂も広まり、元々倍率が高めのBtoBメーカーも、ここ数年は更に倍率が高くなっている傾向にあります。

とはいえ、BtoBメーカーだし口コミにもホワイトって書いてあるし、と安直に入社を決めてしまうのは非常に危険です。
いくらその会社がホワイトだと言っても、それを支える大変な部署というのはどの会社にも必ずと言っていいほどあるからです。

全ての会社に該当するわけではありませんが、BtoBメーカーですと比較的見分けるのが容易で、とある傾向が生まれます。

今回は文系でのBtoBメーカー就職を目指す学生向けに、ホワイト部署とブラック部署の傾向について解説致します。
また、一般的に文系採用は営業系や事務系での採用が多く、特に営業系での採用がほとんどを占める為、営業系部署においての解説となります。

スポンサーリンク

理解しておくべき「商流」について

まず、解説をわかりやすくする為に1つのワード解説をします。
BtoBメーカーの営業を語る上で知っておきたいのは「商流」と呼ばれるワードです。

メーカーは一般的に、

メーカー

商社

(販売店)

ユーザー

というルートで製品が販売されています。
これが所謂「商流」と呼ばれる、製品販売までの流れです。
販売店、というのは、わかりやすいところで言えばスーパードラッグストア、ホームセンターなどです。
また、例えばメーカーが他のメーカーから材料を仕入れたい場合、例えば、掃除機のコードを別のメーカーから仕入れる、電源基板を別のメーカーから仕入れる、という場合は商社を通してメーカー→商社→メーカーで取引が行われる場合もあります。

メーカー→1つ目の商社→2つ目の商社→販売店→ユーザー等、商社が何個も連なる場合もあります。
2つ目の商社は、メーカーから直接仕入れたくても、信用やその製品の売上といった面から、直接仕入れられない場合も多い為、他の商社を挟むこともあるのです。
ユーザーも業者も、メーカーから販売店までの流れは知らない場合も多く、なるべく上の商流から購入した方が安く買えるとしても、そこは商社も売上の為にそう簡単に「どこで買えば安いか」といった情報は出しません。

皆さんも、この製品ほしいけどどこに売ってるの?と困った経験があるのではないでしょうか。
商社達の間では、常に情報戦が繰り広げられているのです。

たまにメーカーに問い合わせて、「どこに売ってるの?」と質問する人もいますが、メーカーは色々な商社と取引がある為、1つの販売店や商社を贔屓して紹介する、ということは出来ません
もしかしたら先述のように、普段は商社を2つ挟んでいるのに、2つめの商社をすっ飛ばして1つ目の商社を紹介してしまった、なんてことになれば、ユーザーは1つ目の商社から物を買い続けることになります。
2つ目の商社はそれによって売上がなくなりますし、1つ目の商社は当該製品が直接購入されることがあっても、2つ目の商社と関係性悪化によって取引がなくなった場合、当該製品以外の売上も逃してしまうかもしれません。

商社通さずに直接売ればいいじゃん!と思うかもしれませんが、メーカーは製品を作ってPRすることは出来ても、特に大きな会社になると細かい一つ一つのお店からお金を徴収したりするようになるととんでもない手間がかかります。
また、多く売れる製品ですと、置き場を確保することも難しいです。

ユーザーとしては、中間マージンを取られているようでいい気はしないでしょうが、商社には、在庫を置くことを手伝って貰っている、そして料金回収業務を代行してもらっている、というのがメーカー側から見た商社の役割なのです。

このように、会社というのは1つ1つが複雑に絡み合っています。

話を戻しますが、BtoBメーカーが製品を販売する相手はあくまでもユーザーではなく商社です。

メーカー

商社取引先はここ

(販売店)

ユーザー

1つの箱ティッシュを例に挙げましょう。
皆さんは箱ティッシュを日常的に使用する中で、不具合品が出た場合、どこに問い合わせをするでしょうか?
購入したドラッグストアに問い合わせる場合もあれば、メーカーに直接問い合わせを行う場合もあるでしょう。

仮にメーカーに問い合わせをした場合、メーカーは真っ先に購入した店舗を確認すると思います。
この理由については、不具合品が出たタイミングを確認する為、置いてある在庫の中に同様の不具合品が混在している可能性がある為、といった理由もあります。

しかし、最も重要なのは、その商流全てに迷惑をかけてしまったことを商社に報告する為です。
ユーザーの皆さんは、もしかしたらドラッグストアに対し、不具合品が置いてあるお店、商品管理が杜撰なお店だ、という印象を抱いてしまう可能性もあります。

そうなれば製品の売上が減り、ドラッグストアも商社からの製品購入が減り、最終的には箱ティッシュメーカーの売上が下がってしまいます。
場合によってはドラッグストアはそのメーカーの箱ティッシュを使わなくなるかもしれません。

ドラッグストアはチェーン展開で、何店舗も存在する場所がほとんどでしょう。
1つの店舗での不具合により、全ての店舗での取扱いが減ってしまえば大ダメージです。
更には、商社がこれに怒って、そのドラッグストア以外の全ての取引先にそのメーカーの箱ティッシュを販売することを辞めてしまえば、メーカーからしたらダメージは箱ティッシュ1つでは収まりません。

それくらい、商社というのはメーカーにとって大切な存在です。
もちろん消費者一人ひとりも大切な存在ですが、商社を大切にしなければそもそも消費者の目の前に製品が現れません

スポンサーリンク

BtoBメーカーにも2種類の売り方がある

以上のことを踏まえ、メーカーの2種類の営業形態について理解しましょう。
BtoBメーカーの販売形態には主に2種類の方法がある、ということです。
これがまさにブラック部署とホワイト部署の見分け方に直結します。

汎用品営業

所謂一般流通製品で、規格が統一されている製品で、大量生産がされている商品です。
皆さんがお店等で買っている製品や工具といった製品、建築現場で使われる製品等はこの通りで、どんなお客さんでも使えるよう一般化されて販売されています。

この場合、商社やエンドユーザーも製品を大量使用していることから製品についての理解が深く、特段難しい打ち合わせ等が発生することがありません

また、営業側としても同じ製品を幾度となく販売することから、新規での知識を付ける必要性が比較的少ないことが特徴です。

一方で、規格が統一されていることから、ライバル企業との代替が可能な為、付き合いの深さや納期、価格の面以外での勝負が出来ず、何度も顔を出して顔を覚えて貰う、納期や価格の相談に素早く答える、といったコール&レスポンスの面が非常に重視されています。

一度相手の機嫌を損ねてしまえば、競合メーカーに全面切り替えされてしまうこともあります。

所謂お茶飲み営業といえばこちらがほとんど

BtoBメーカーの営業と聞いて、お客さんのところに顔を出してお茶飲んで帰ってくる、なんてことを想像される方もいらっしゃいますが、これが出来るのは主に汎用品営業です。
新規での営業がほぼないのが特徴だと言えます。
新規のお客様は商社や販売店が捕まえてきますからね。

新製品の営業等、一部で必要になることもありますが、基本的には製品について色々説明をする必要もないことから、お茶飲み営業、なんて呼ばれたりすることもあります。

但し、これが出来るのは在庫店を確保出来ているその業界でもある程度大手のメーカーのみ、ということは覚えておきましょう。
業界2番手、3番手の企業は1番手の企業からシェアを奪うことに必死です。

いくら自社の在庫が商社に置いてあるからといっても、2番手3番手の企業の対応がよく、価格も安い、となれば切り替えることもあるでしょう。
それをさせない為のお茶飲み営業なのです。

つまり、決して楽をしているわけではありません。
ご機嫌とりにも必死です。

メーカーはある程度売上が勝手に積み上がる、というのは事実ですが、それは切り替えられていないからこそである、というのは理解しておきましょう。

買ってもらわなければならない

いくらお茶飲み営業といえど、売上が足りなければ無理やりにでも買ってもらわなければなりません。
商社の在庫状況を逐一確認して、「これ補充しましょう」なんて提案をしたり、商社の在庫がパンパンでも、「なんとか買ってくれ」とお願いをすることも多々あります。

機嫌を損ねないように、とは言いましたが、それでも機嫌を損ねてしまうことはあります。

ただ頭空っぽでいくのではなく、買ってもらう方法を考えながら行動していくことがとても大切になります。

それに、いくら商社がユーザーを見つけてくるとはいえ、メーカーもユーザーに買ってもらえるように商社と協力して攻略していかなければならないので、それくらい商社と親密になる必要があります。
商社がそのメーカーの製品を売りたい、と思うくらいの熱意や提案をしていかなければ売上は落ちる一方です。

ホワイト部署とされるのはこちら

とはいえ、基本的に売るのは同じ製品です。
先述の文章のみでは言い表せないほど、やることはたくさんありますが、それでもある程度は定型化されています。

先述の通りの不具合対応等で、お客様放置で自分だけとっとと帰る、というわけにも行かず、取引先の心象も考えなければいけないので、多少なりとも残業は発生します。

それでも定時で帰れる機会は多いです。
トラブルが無ければ比較的定時で帰れるでしょう。

但し!在庫を抱えて貰っている場合に限る

繰り返しになりますが、これは重要な点です。
そもそも普段から取引のある商社が少なければ、お茶なんて飲んでのんびりしてないで切り替えてもらわなければなりません。

既に他社の製品や営業マンと信頼関係が出来ているところに自社の製品をねじ込む、というのは想像以上に難しいことです。
若いうちは舐められることも多々ありますし、下手にでないと「いりません」の一言で終わってしまいますしね。

その為、ある程度在庫を抱えて貰っている商社が多数いる場合に限りますし、何より抱えて貰っていても他社に切り替えられないようにしなければなりません。
ホワイトと言っても、ある程度要領が良く、信頼されていなければ大変な仕事であることは理解しましょう。

特注品営業

一つ一つの製品がその会社専用の特注品で出来ていることから、細かい打ち合わせが必要となるのがこの営業手法です。
大規模プラントや有名な大手メーカー等を相手に営業活動を行う花形でもあります。

場合によっては大規模なプロジェクトが組まれることもありますし、数千万円、数億円をたった一人で受注出来るように活動をしなければならない場合もあります。

その一方で、製品や専門知識の量は同期入社の中でも飛び抜けるようになりますし、やり甲斐は凄まじいです。

仕様チェックで売上どころではない

製品1つ1つの仕様書を読み、客先の仕様通りの製品が納入出来るようなスペックを実現する為、自社の設計や技術部と打ち合わせをしながら仕事を進めていかなければなりません。
その仕様書も、たった1つの製品に数十枚、数百枚なんてこともザラです。

場合によってはデビエーションという、代替提案を行う必要もありますし、対応出来ません、と断る為に本当に出来ないのか?ということもまたチェックしなければいけません。

何よりこのチェックを通したところで、出来るのは見積書のみです。
どれだけ仕様チェックをして完璧な製品を作る準備をしたところで、他社がより安い値段でスペックも満足出来る製品が生産出来る、と宣言したらそこで失注確率が一気に上がります。
いくら営業が頑張っても自社の技術で出来ない分野があれば受注出来ない、ということもザラです。


とはいえ、それをさせない為に代替提案を行ったりはします。
仕様満足出来なくても価格が安くなったり根本から仕様を変えて貰う等無理くり受注出来るように営業をかけます。

1件の為に数週間使って売上0なんて洒落になりません。
しかし、実際はこのチェックで売上のことなんて考えられない、なんてことも多々あるのです。

ただ、その一方で1件受注したらそれで今月の売上目標終了、ということもあるのが特注品営業。
なかなかシビアな営業だと思います。

受注した後も地獄

大規模案件だと、数百、数千という製品が全て別々の仕様、なんてこともあります。
それだけあると、どれだけミスに気をつけていても仕様ミス、見積もりミスというのは出てきてしまうことがあります。

特注品の場合、納期は汎用品と比べても数ヶ月単位でかかる等、比較的長めです。
それでも納入直前や最終打ち合わせのタイミングで仕様ミスが発覚することもしばしば。

とはいえ納期には間に合わせないといけませんので、工場に詰める必要があります。
別の製品を流用したり、別の会社に納入予定だったものの納期を遅らせてでも間に合わせないといけないのです。
工場のみではなく、他の営業マンやお偉いさんにも迷惑をかけることも出てくるでしょう。

納期にどう頑張っても間に合わない場合、上司、更には上司の上司(役員クラス)を交えて謝罪にいかなければならない場合もあります。
対応は一人なのにミスをすると会社全体を巻き込む羽目になるのです。

工場側も特注品製作になると、製造ミスにより納期遅延を引き起こすこともあります。
それでも担当者は営業マンなので、最前線で謝罪し、対応方法を考えるのはあくまでも営業マンの役割。

プロジェクト現場、というのは本当にハプニングまみれで、受注したから、と気を抜いて喜ぶことなど一切出来ないのです。

納期ギリギリで仕様変更も多々

いくらこちらが気をつけていても、向こうが当然のように仕様変更をかけてくる場合もあります。
数百、数千という製品の仕様が突然全て変更ともなれば、仕様変更のチェックもパニック、製造現場も大パニックです。

大規模案件だと、大体の見積もりでメーカー決定→後から仕様変更、を正式手順としている場合もある為、仕様変更に対応出来ない企業はそもそも受注出来ないので、これも必然的に対応に追われるわけです。

間に合わないと一気に数千万円単位の損失が生まれます。
クビが飛ぶなんてレベルではありません。

また、現実にはこの1件の案件をずっと進めるというわけにもいかず、多くの案件を併行しながら、全ての納期に間に合わせ、尚且つ全て受注出来るようにしなければならないのです。

数字に現れない部分でも、やることが本当に多い仕事です。

将来性は抜群

もちろん残業は汎用型に比べたら明らかに多いです。
心休まる時間もあまりないかもしれません。

それでも、製品知識に限らず業界知識、大手との取引受注実績というのは経歴として残りますし、社内にいようが転職しようがその経歴を抜群に活かすことが出来ます。

何よりハプニング対応力が向上するので、汎用型営業を行ってきた人よりも冷静に物事を進められます。
これは大きなメリットでしょう。

スポンサーリンク

部署は選べない…けど?

恐らく、上記2種類の解説を見て、残業時間を重視したり、プライベートも楽しく、なんて考える人は汎用品営業をやりたがると思います。
ホワイトでもやり甲斐を!なんて人は特注品営業かもしれませんね。

しかし、実際は入社して配属されるまで自分がどちらになるかを決めるのは人事部や上司クラスの人達ですし、研修等を経て適正をしっかりと見定められます。

とはいえ、研修の過程で希望を聞かれる場合もありますので、しっかりと自分の希望は伝えるようにしましょう。
楽ができそうだから、なんて答えてはいけませんよ。

また、仮に希望の部署に入れなかったとしても、全国展開の会社だと数年おきに部署異動もあります。
上司と面談を行う場合もあります。一回ダメだったから、と諦めるのは早いです。
どちらの営業手法も経験しておくのが最終的にはベストですからね。

以上を踏まえ、BtoBメーカーのことをしっかりと理解した上で就職活動に励みましょう!

タイトルとURLをコピーしました