今回は下層高校編です。
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前回までの通り、RちゃんとRちゃん母に大学へ行くことを宣言した私は、県内最下層の全日制高校に入学するわけですが、ここから私は「高校生活」というものの理想と現実の乖離を知ることになるわけです。
下層高校の現実
そもそものことを言ってしまえば、私自身、中学後半以外はほとんど学校には行かずに過ごして来た身である為、もしいい高校に合格していたとしても、真面目に過ごして来た学生達との学生生活にそこまで馴染める気がしてはいませんでした。
しかし、通うのは下層の高校です。それも私立。
いくら学校生活と言っても、下層である以上同じようにほとんど高校には行かなかったような人達ばかりだし、校則も緩いだろうと腹を括っていました。
Rちゃんの高校も県内トップの高校ですが、公立なのに髪を染めたり制服を着崩したりすることを許容されている、ということも事前に聞いていたので、高校はそういうものなのだろう、と。
待っていた生活は…
実際に入学してから会う生徒に真面目にやってきたよ!なんて人はほとんどおらず、やはり同類の人間もたくさん見つかり、すぐに多くの人と仲良くなることが出来ました。
しかし、校則の部分で言えば、Rちゃんから聞いていたものとは程遠いものでした。
一人ひとりの人間が徹底管理されており、少し髪を伸ばそうものなら生徒指導室に連行され、先生からの怒号が飛び交います。
在籍している教師も半分以上が体育会系の先生で、生徒の扱いは非常に雑でした。
本当に毎日誰かが怒鳴られているのを見届ける日々です。
軽い注意、なんてものはありません。一発目から怒鳴られます。
高校、というよりは更生施設でした。
下層高校だからこそ厳しい
しかし、それもそのはずです。
学校にはほとんど行かなかったような学生達が募う学校です。
先生側からすればどんな問題を起こされるものかわかったもんじゃありませんし、そういう問題が起きないよう、学生を徹底的に見張ることに重点を置いているようでした。
Rちゃんが通うような高校は、真面目にやってきた学生も多いですし、多少自由を与えても学業は真面目に行う、という認識なのでしょう。
一方で私が通う高校では、謎の教育プログラムとして、軍隊生活のようなものが年に一度用意されています。
電波もなさそうな山の中(そもそも携帯は持ち込み禁止)で、マラソンや整列移動の練習を1週間行います。
少しズレたら怒号が飛び交います。その癖私語は厳禁。
まあ部活で行う分にはいいでしょうが、入学してからそんなプログラムがあることを知らされる私としては溜まったもんじゃありません。
これをRちゃんに話すと「刑務所じゃん」なんて言われる始末。
青春にはやる気が大切
何より驚いたのは、学園祭のショボさです。
そもそも生徒たちにやる気がほとんどない為、盛り上がるものも盛り上がりません。
そもそもクラス単位での出店というシステムが存在せず、部活単位で事前に教師たちが決めた出し物を行うシステムになっており、部活に所属していない学生達は何もやることがありません。
出店申請システムがなかったわけではありませんが、やる気もない生徒たちが動くとは思えません。
その上、出店は全て外に出された食べ物屋台のみ。
そしてよくよく見てみると出店についての打ち合わせもほとんどされていないのか、屋台に立っているのは先生達のみでした。
先生達が外で料理をするだけのイベントです。
来ていた親御さん達もがっかりの様子でした。
先述の軍隊生活もそうですが、生徒はあくまで先生達の決定に沿って動く、それが教師陣としてもやる気のない学生達にもピッタリの方法だったのでしょう。
何かをみんなで決めよう、なんて空気は一切ありませんし、そもそも最初からそんな芽は潰されていました。
学業は無双状態
一方で、勉強は下層に位置する我々のレベルに合わせていたようで、テストは簡単なんてものではありません。
一般常識さえあれば解ける問題ばかりですし、普通に生きてきた学生であれば、授業を受ける必要あるの?という感情すら湧いてくるレベルのものです。
中学生でも解けるでしょう。
私も下層の人間ですが、高校受験を少し齧っています。
その為、テストでは完全無双状態。
ほとんどの科目で100点、1回目のテスト後からは教師達に天才が入学してきたと噂になり、授業中寝ていても許される謎の優遇モードに入りました。
実際に解いている問題はしょぼい問題ばっかりなんですけどね。
で、ここで自分は目的を思い出し、授業も聞かずに授業中も大学受験の勉強を初めます。
この時点での志望は理系です。目標とするのは割と偏差値も高い有名大学。Rちゃんにもこのことは話しており、日々応援されながら勉強をしていました。
彼女との別れとやる気の喪失
そんなこんなで、同類の友達もいる為学校生活がつまらなかった、というわけでもなく、かといって面白いことは何もないただただ勉強だけを続ける高校生活を送る中で、ある日、Rちゃんから別れを切り出されます。
なんとなくそんな空気感は察していました。
私とは違いキラキラとした高校生活を送っていましたし、段々住む世界も違う人になってきていました。
彼氏の高校を聞かれて話したらばかにされた、という話も聞きましたし、別の男の子と仲も良かったようです。
自分としても申し訳無さすら感じてきており、別れることを決意。
Rちゃんは別れて数日後には別のキラキラ男子と付き合っていた模様です。
失意の高校生活
Rちゃんと別れた私は、勉強する意味も高校に通う意味も失ってしまいました。
なんせ、大学に行くと決めたのもRちゃんと付き合い続ける為です。
ずっと付き合い続ける気満々でした。
毎日学内で行っていた受験勉強もやめ、2回目のテストは赤点にならない程度に点数だけ取ってあとは寝るやる気なしモードに突入です。
1回目以降行われていた教師からの優遇モードは解け、この日から入学時同様当然のように怒鳴られるようになりました。
先生との大喧嘩
そんなある日、進路指導の日として、先生と親と私の3者面談が行われました。
まあ私としては失意の状態だったものの、一応大学には行くかぁ、くらいの感覚ではあった為、先生にそのことを伝えますが、先生から言われたのは思いもよらぬ一言です。
「君の家にそんな財力あるの?」
忘れもしません。
まあ一応私立高校ですし、生徒たちの家庭は比較的裕福な家庭も多い。
一方の私は奨学金のフル活用で親も私の大学に行きたい気持ちを汲んでくれており、借金をして高校に行かせて貰っている状態でした。
これでは確かに言われてもおかしくない一言です。
しかし、それでも当時の私は怒り心頭でしたし、親もブチギレ。
先生も引くに引けなくなったのか、ここで口論が勃発します。
面談終了後、母が発した一言は、
「こんな高校なら行かなくてもいいよ」
の一言。とはいえ、大学に行く為に高校を卒業しておきたい私は、とりあえずは通うことに決め、しばらくは通っていました。
Rちゃんの陰口発覚
そうしてやる気を削がれながらも日々ギリギリのところで耐えておりましたが、ある日、Mちゃんから久々のメールが届きます。
Mちゃんは、Rちゃんと付き合うきっかけをくれた仲の良い幼馴染です。
送られてきたのはあるサイトのURLとパスワード。
それは、Rちゃんがパスワード付きで開設しているブログでした。
そのブログを見てみると、私に対して書かれた凄まじい量の陰口でした。
要約すると「頭の悪いお前なんかに大学なんて行けるわけねぇだろ」というものです。
少し遡ってみると、どうやら付き合っていた時から勉強をしている私を馬鹿にしていたことがわかりました。
ここで、ギリギリのところで高校生活に耐えていた私のやる気は、完全に切れてしまいました。
退学を決意
こうして、親からの許可、先生との仲違い、Rちゃんからの悪口と三拍子そろってしまった私は高校を中退することを決意し、その旨を伝えます。
教師陣は、やる気がなくてもテストでそこそこ点数を稼ぐ私を引き止めにかかりましたが、担任の先生に三者面談で言われたことも忘れられず、意地でも辞めてやるの精神で、退学をしました。
こうして私は高校を辞め、一度目の社会人を経験することになります。
今回はここまでです。
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