様々な理由から行われるキャリアチェンジですが、今回はある程度別のキャリアを積んできた方々が未経験のまま職人の世界に入っていけるのか、ということを解説していきたいと思います。
未経験者でも職人になれる?
まず、結論から言えば何も問題ないです。
恐らく未経験者にとっては、やっていけるのか、ということ以外にも色々な不安がつきまとうと思いますので、そういった面も含めて解消していきます。
雇って貰える?現場で浮かない?
そもそも雇用して貰えるのか、といったことに不安がある方も多いと思いますが、まず間違いなく就業先は見つかります。
平成後期から令和にかけての進学率の上昇は職人志望率を極端に下げており、とりわけ大人数で仕事を進めるビルやマンションといった物件を取り扱う職人ですと、日々人材不足による納期遅延や、請けられるはずだった案件の失注が後を絶ちません。
個人営業で仕事をしている所謂1人親方や、少人数運営をしているような職人であればともかく、大人数(といっても5人程度以上の会社)でしたら喜んで受け入れて貰えることがほとんどです。
また、職人という世界は、多くのバックグラウンドを持った人々が働いています。
元エリートサラリーマン、高学歴、という方も少なくはありません。
社長や社員の平均年齢が相当若い、ということでもない限りは浮くことなんてないです。
恐らく大多数の職人は、ある程度の歳で未経験、という人を見慣れています。
ドラマやテレビで見られるような、イビリであったりといったことはそうそうありません。
仕事は覚えられる?役に立てる?
正直に言ってしまえば、吸収力のある若い人たちとは違い、仕事を覚えるのに苦労する方も多いと思います。
職人は感覚的な作業も比較的多く、頭で原理や仕事の流れを理解しようとしても、なかなか追いつかないことも多々あります。
必死に体を動かして体に覚え込ませるのが1番です。
とはいえ、ある程度歳を重ねた方々でしたら、リスク管理は若い人たちより得意だと思います。
職人という仕事は時には危険を伴う仕事ですので、一つの行動がどんな危険に繋がるのか、ということを考えることも忘れないで下さい。
また、基本的にはサラリーマン等とは違い1つ1つの職人のやるべき仕事はパターン化しやすい為、ある程度はすぐに覚えられます。
年齢関係なく最初は素人です。
自分より年下の職人に怒られることもあるでしょう。
年下とはいえ、相手はあなたより技術もあるその業界では先輩である、ということは忘れないで下さい。
特に職人という業界では、働き始める年齢が様々ですので、年下先輩の注意に耐えきれず、すぐに辞めてしまう方が多数います。
めちゃくちゃなことを言っているのであればともかく、なぜ注意をされたのか、あなた自身に本当に悪いところはないのか、何度も確認して下さい。
まずはプライドを捨てきれるか、そこがスタートラインです。
早い段階で職長になる人が多い
職長、つまり現場において、一つの仕事を束ねるリーダーです。
しっかりと仕事を覚えて努力をしてきた人は、年齢面で客先に信頼されやすかったり、管理能力が高い人も多い、ということもあり、比較的早い段階で職長になることがあります。
職長は客先との納期や作業工程の打ち合わせ、材料搬入、費用請求等やらなければならない業務も多いです。
こういった仕事は技術勝負のみとはいかない為、あなた自身のこれまでのキャリアを役立てることにも繋がります。
そんなキャリアないよ、という人も、何が問題になりそうなのか、というリスク管理の思考はやはり若い人よりも長けています。
厳しい下積みを乗り越えることさえ出来れば、頼られるリーダーへは近いです。
会社管理をやることも
複数の職種を跨いでいたり、複数物件が同時に進行するような会社ですと、管理方面の仕事を専門に行うことがあります。
この仕事は、全体の仕事の進捗を見て人数の調整を行ったり、各職長と納期の打ち合わせをしたりと、全物件を束ねるゼネラリストです。
技術よりもこういった能力に長けている人は、特に優先的に回されることも多いです。
また、職人とはいえ、パソコンは使います。
工賃や人件費、材料等の経費を計算したり、材料の不足確認、営業対応、発注といった業務は必ずついてまわりますので、事務方の仕事が出来るのであれば尚重宝されます。
事務方(営業や管理業務等)の経験は必ず活きる
どうしても職人は、技術一本の叩き上げで社長になる、という人も多いです。
昔の親方に教えられたことを大切にしていたり、過去の慣例をとても大事にする人、もしくはそれ以外の方法を知らない人も多いです。
事務作業や仕事全体の管理といった部分に関してはまだまだ効率化がされていない会社も多いのが職人という業界。
もし風通しがいい会社であれば、あなた自身が自分の経験をもとに社長や職人達に提案をしていくことが出来れば、会社全体の売上に貢献することは間違いありません。
給料面はどうなるのか
恐らく大多数の会社では見習い賃金からスタートします。
もちろん経験者であれば優遇はされますが、そうでない限りは前職が年収数千万のスーパーエリートだったとしても他の見習い職人達と同じでしょう。
どれだけあなたが優秀でもその仕事においてはド素人ですし、あなたの以前までの社会的地位等会社側は知る由もありません。
しかし、先述の職長になることが出来れば職長手当を支給している会社がほとんどです。
また、給料が上がるのが早いのも職人の特徴でもあるので、仕事の工程をしっかり理解して、バリバリこなせるのかどうか、という部分はとても重要な能力になります。
つまり、あなたより前に入った職人を抜いて給料が上がることもありますし、後に入った職人が先に昇給することもあります。
それくらい実力社会だったりします。
技術面で自信がなければ、管理業務や事務作業の全てを司ることで別方面の評価が高まり、給与アップも期待出来ます。
あなた自身が職人達に技術面以外でどんな貢献が出来るのか、そういったことを考えながら仕事をしてもいいかと思います。
とにかく社長のさじ加減一つな部分もあるので、何か評価されるものを一つ働きながら掴んでいきましょう。
我慢出来なくなったらすぐに別会社を検討もOK
もちろん一部ではありますが、血の気の荒い職人達もいます。
仕事の中で受ける注意であれば真摯に受け止めるべきですが、明らかにその範疇を超えていた時、そういった職人達に出会ってしまったら、すぐにでも別会社に移ることを推奨します。
先程も言ったように万年職人不足になりつつあるのがこの業界。
たった数ヶ月でも経験があれば、同業なら別会社でも重宝されます。
職種そのものに興味が持てなければ別の職人でもいいでしょう。
そういった転身も可能ですし、別職種でも役に立つ経験が多いのも職人という世界の特徴です。
もしあなたがこの仕事に辛さを感じてしまったら、すぐに辞める、というのも一つの選択肢になってきます。
なんとなく始める職業ではない
体力に不安がある、上り下りが苦手、高所恐怖症、経験を積めば積むほどこういった部分は増えていくと思います。
職人といっても、職種の数は様々で、とんでもない量の中から自分に向いている、興味が持てる仕事を探さなければなりません。
なんとなく職人になろう、と適当な求人を選んで仕事を始めるのは大いに危険です。
まずはどんな仕事があるのか、学ぶ面でも下記記事でどんな職種があるのか、数十種類程まとめておりますので、一度目を通して興味が持てるものを探してみましょう。
最後はあなた次第
まずは1人の未経験者であること、役に立たない状態から少しずつ成長していかなければならないのはどんな年齢でも同じです。
「プライドを捨てる」ことが出来るか出来ないか、それが一つのスタートラインです。
それさえ出来れば、必ず活躍は出来ます。
将来的に独立することも出来ます。絶対に遅くはありません。
是非頑張って下さいね。
尚、求人の探し方については下記記事も参考にしてください。
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