職人や工場の仕事はサラリーマンよりきつい?実態と収入を両方の経験者が語る

職人

私は高校を中退後、そしてサラリーマンをやめた後の2回ほど、職人を経験した過去があります。
リーマン時代は東証一部上場企業の総合職、すなわち出世が期待されていたポジションです。

こんな経歴の人、なかなかいませんよね。
サラリーマンなんかより気楽!
サラリーマンの方がいいに決まっている!
実際のところ両方経験した上で発信している人、少ないと思います。

また、リーマン時代努めていた会社が工場を抱えていた関係もあり、工場の就労環境に関しても実際に目にしてきました。

そんな私が、現場作業の仕事とサラリーマンの仕事を徹底比較していきます。

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3Kを検証

3Kとは、「きつい」「汚い」「危険」のこと。

現場作業員なんかはこの3つが揃っており、大変な仕事だ、と避けられがちな職でもありますよね。
実際のところどうなのでしょうか?

キツイ?本当に?

現場作業は、体力と技術で勝負する世界です。
就業時間中は休む間もなく重たい材料を汗水たらして運びます。

季節の影響が強い

夏場は30度以上、環境によっては熱がこもり、40度以上の灼熱の環境で汗を流しながら働きます。
作業員の熱中症は日常茶飯事。屋外はもちろん、屋内であっても室内に熱が籠もってしまい、フラフラになってしまいます。

電気が使えれば室内職は扇風機なんかも設置出来ますが、各所を隅々まで移動しながら作業を行う作業員にとってはそこまで効果があるものでもありません。

一方冬は凍える風が体にひたすらふきつけ続けます。

高所作業を伴う職種なんかは風の勢いも強く、体感温度は更に下がります。
作業をてきぱき行っていれば体温は上がりますが、それでも寒いですし、細かい作業を求められる職人にとって、寒さで思い通り手を動かせない状態は効率も極端に下がってしまう大変な環境と言わざるを得ません。

最近では「電熱服」「空調服」と呼ばれる電熱が組み込まれた温かい作業着や、空調ファンが取り付けられている涼しい服なんかも存在しますね。

とはいえ、この2つを使っても厳しい環境での作業となるのが職人。

また、製品を取り扱う工場なんかでも、温度の徹底管理を行う都合上、一年中暑い、一年中寒い環境で過ごすこともあり、恵まれた環境とは言えないです。

営業マンも環境は近い?

営業マンも、暑さや寒さの中、営業に奔走しています。

とはいえ、車での移動、営業先に入ってしまえば空調の効いた環境でお茶をしながら商談。
現場での商談をするとしても日中ずっと外にいるわけではなく、時間は限られています。

こればっかりは最も影響を受けるとされているサラリーマンであったとしても、現場作業の方が圧倒的に大変です。

実働時間は天国

作業員の多くは、休憩時間と就業時間が
10時〜10時半
12時〜13時
15時〜15時半
とする文化が広く残っています。

また、近隣住民の騒音被害や暗くなることによる作業効率低下、健康被害者を出さないよう徹底管理する目的もあり、17時、遅くても18時には作業を終了します。
実働時間は7時間〜8時間程度です。

この文化が根強く残っている為か、遠方の現場だと18時〜19時に帰宅する為に、15時に作業を終了する場合もあります。

初めて現場作業をしていた頃は本当にキツイ仕事だと感じていましたが、サラリーマンとして残業を多く経験した後に経験した気分としては

え?もう終わりなの?

と感動する日々でした。

定時上がりが可能なサラリーマンもたくさんいますが、そうなると今度は定時まで暇で時間も長く感じ、それはそれで地獄だったりします。
程よく忙しく定時で帰れる環境にいるサラリーマンは本当に自分に合った当たりの環境で過ごしている人間。本当に一握りです。

移動がキツイ?

職人は遠方の現場の場合、始業時間に合わせて朝4時〜5時に家を出ることがあります。
距離も県を2つ跨いだりして移動も大変です。

でもこれは営業マンもほぼ同じですね。

営業マンも出張で遠方の客先を担当しなければならない場合もありますし、限られた機会を無駄にしない為に、遠方の県で色んな市にある客のフォローを隅々まで行わなければなりません。

デスクワークも行うので、腰がやられるのは一緒ですね。
営業先に行くために朝早いこともありますし、移動に関してはサラリーマンの大部分を占める営業マンと比較してしまうと、そこまで比較条件になるとは言えません。

職人の休日について

いくら平日の労働時間が短くても土日祝日の休日がなければ意味がないですよね。

工場作業者は本社のスケジュール通りになることも多い為、休日は比較的多い方ですが、職人はどうでしょうか。

一人親方や社長の方針によって、土日祝日の休みを取る場合もありますが、通常は納期がカツカツな場合も多く、祝日や土曜は稼働している職人が多いです。
特に、チームや複数の企業の職人が集まる大規模な修繕工事等がありますと、土曜日に働くことを前提として工程が組まれることもあるので、休日日数は必然的に少なくなります。

また、日当制で雇用されることが大半である職人は、土曜も稼働することで給料を稼ぎます。

一方で屋外仕事ですと、雨季は作業が出来ないことも多く、必然的に休みが多くなり、収入は少なくなります。
どうしても不定期になってしまう為、雇用されている限りはカレンダー通りに休むことが多いサラリーマンに軍配が上がります。

職人は体のコントロール、サラリーマンは頭と心のコントロール

作業員は体力と手元の技術に優れている一方、結果を残すサラリーマンは頭を使い、メンタルをコントロールする能力に長けています。
この2つを求められている以上、頭と心のコントロールが当たり前のように出来ないサラリーマンは、出世競争から淘汰されていきます。

職人も職長クラスになると工程管理や材料知識など頭を使う仕事ももちろんあるのですが、サラリーマンが取り扱う幅の広さや例外事項の多さを考えるとそこまで苦痛とは言い切れません。

ルール通り執り行うことが多い作業員に対し、時には会社のルールを徹底無視してでも行動をしなければならないサラリーマン。
転勤のあるサラリーマンだと一つミスしたら僻地に飛ばされることも、現実にある話です。

就業時間内にガッツリ体を動かすメリハリのある作業員と、過ごす環境に恵まれながらも頭を動かしストレスに耐えるサラリーマン、一長一短ですね。

汚いことがデメリットかという問題

若い時や女性の作業員なんかはこの点気になるかもしれませんね。

特殊な材料を使うことも頻繁にあり、汚れが落ちにくいこともままある職人や工場作業員ですが、一方で汚れることを前向きに捉えてしまえばそこまでデメリットにもならない気がしています。

綺麗なのも考え物

毎朝スーツを着て、同じような髪にセットして、ネクタイを締めてヒゲや臭い、特に加齢臭なんかに毎日気を使わなければ客先にいい印象を与えられません。
場合によっては印象のみで商談が決まってしまうことも多々あります。
それを60歳ないし65歳まで続けていくわけです。

育ちのいい方はあまり気にならないのかもしれませんが、私のように育ちもそこまで良くない人間にとっては、かなり苦痛の日々でした。

職人や工場作業員は比較的自由ですよね。
あくまでも汚れることを前提としている仕事は、最低限のみ気を使えばそこまで神経質になることもないです。

また、こういった装いは職場の空気感にも直結するのが事実です。
綺麗な格好をしているとそれだけで周囲の雰囲気はピリッとします。

性格の問題も大いにありますが、やはり職人や工場の方々は思い思いに過ごしている方が多いです。
そのような環境ですので、建築系の会社や工場では風通しも良い職場が多いのが特徴です。

よく工場と営業は相容れないなんて言いますが、こういう雰囲気そのものも影響している、というわけです。

危険なのは確実にデメリット

では、最後の「危険」というワードです。

これは明確に職人や作業員として従事する上でのデメリットと言えます。

怖いのは怪我だけじゃない

作業員の仕事は、高所作業、重たい道具、大きな機械と、一歩間違えれば命を落とすものと常に接しながら働く仕事です。

こういう時こそ「慣れ」という言葉が怖いもので、上記のような事故は一年中起きています。

厚生労働省の発表では、平成30年の労働災害死亡者の3割以上が建設業、製造業や林業も含めると5割を超える数字が出ています。

建設・製造ともに安全確認にうるさい会社も多いですが、ここまで徹底していてもどうしても事故が起きてしまうのが現場作業の怖いところです。

危険な薬剤や塗料を使うこともしばしば

現場作業で使用される薬剤や塗料の中には、長時間匂いを吸引してしまうと健康被害が出てしまうものもあります。
また、その特殊性から皮膚についてしまうことで大きく腫れてしまうこともあります。

一度私が目撃したのは、ガラス材を含んだとある塗料に不注意で触れてしまったことにより、手全体が2倍近くまで膨れ上がってしまい日常生活が困難になってしまった事例。
幸い2周間程度で回復しましたが、半月近く日常生活が送れなくなるのは本当に辛いものです。

このような事態を防ぐため、上記のような材料を使う会社は半袖厳禁、常に長袖で作業を行うところもあります。

ちょっとした事故が生活破綻へ

困るのは怪我や事故そのものだけではありません。

工場で正社員として働くならともかく、日当制で働く職人はどうでしょうか。
仕事を休めば休んだ分だけ給料が激減してしまいます。

体が資本とは言いますが、資本を生み出すのも体。
通常、安全確認をしっかりと行えば事故は起こりませんが、人間ですので完璧はありえません。

こういった部分が職人の難しい点ですね。

サラリーマンの危険性

先程職人は体のコントロール、サラリーマンは頭と心のコントロールと言いましたが、サラリーマンは心がやられて再起不能になります。

メンタルが弱い、なんて言葉で片付けられるものではありません。
人間誰しも過剰なストレスを浴びれば壊れてしまいますし、サラリーマンは自己管理の幅がとても広いことも多く、どんな人でも心が荒んでしまうことは充分にありえます。

職人にそういったことはない、とは言いませんが、こういった心の病の発生率は段違いにサラリーマンが高いです。
常々リフレッシュの重要性に気付かされますね。

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収入の比較

会社による、職種による、俺は違う、なんてことを言い出してしまうとキリがないので、あくまでも多数の職人や会社員からのヒアリングや私自身が感じた中での話となることはご了承下さい。

目に見える収入と見えない収入

求人を見ていると、職人の給料は魅力的なものばかりです。

働き始めて早々に日当1万超え、昇給も比較的早い場合が多く、休日を抜いて30万円は簡単に超えていくこともしばしば…

一方のサラリーマンは、大卒後最初に振り込まれるのは10万円台〜20万円台前半が大半でしょうね。

ただ、手当や生活環境のサポートに関してはどうでしょうか。

私が以前働いていた会社では、家賃10万円の家が会社負担8割で自己負担2万円、社会保険の完備、残業代、ボーナス、昼食代、帰省手当、出張手当、土曜日は割増賃金、リゾートホテルへの無料宿泊…

社会人歴1年2年程度の若輩者にとって、申し分のない福利厚生です。

手厚さが尋常ではないですね。
日当で働いていない以上、何かあってもある程度の給料保証は確実にされます。
給料のみではなく、こういった安心感が支給されるのはサラリーマンの一つの強みでもあります。

また、この点で言えば工場作業員なんかは特に優位性も高いいいとこどりな気もします。

定時上がりが比較的多い工場も多く、尚且つ会社として福利厚生が手厚い…
大手の工場なんかは特にこういった点強いですね。

工場にホワイトが多いとされる理由もこれまでに記述の内容からもわかると思います。

職人の独り立ち

一方、若くして高収入を実現させることも多いのが職人です。

会社を仲介せず直接全額が職人本人のもとに入ってきますが、現場の単価は比較的高く、確かな技術と信頼、そして仕事を回してもらえるコネがあれば、とんでもない金額を稼ぐことが出来ます。

ここで二人の例を紹介します。

Aさん:社長(30代) 彼は20代前半にして独り立ち、他の職人を雇いながら順調に成長していき、今では現場で仕事をすることはほとんどありません。ブローカーとしての才覚もあり、こちらでも稼ぎ出しました。 稼働は週に2日程度で月収は8桁。月収ですよ?

Bさん:一人親方(30代) 彼も20代前半にして独立、日当たり4時間労働、シングルファザーの為、仕事もセーブしていますが、それでも平均月収は60〜70万円ほど。

これ、実例ですし、上はともかく下は特に特殊なケースでもありません。

もちろんこの二人には並々ならぬ努力があったことは間違いないのですが、細分化された業務のノウハウを持って独立しても役に立たないことが多いのもサラリーマンです…

サラリーマンは一部の能力者が青天井

一方で業務のノウハウをうまく持って起業が出来れば、サラリーマンは莫大な金額を手にすることが出来ます。

また、起業をしなくても大手であれば役員に上り詰めることで億単位の報酬も見込めます。

この点話し始めるとキリがないのですが、膨大な金額を使ってビジネスをしてきている人間は、やはりリスクの分だけ収入を得ている、というのも事実です。

努力か才能のどちらかは必要

収入に関して言えば、結局のところ自分次第です。

ただ、職人であってもサラリーマンであっても、高収入を叩き出す人はいます。

そういう人たちは、今はどんなに楽をしていようが、遊んでいようが、若い時に並々ならぬ努力をしてきているのは事実です。

一方でそれが出来ない人はサラリーマンでも1000万超えるなんで無理ですし、職人としても独立したところで誰も仕事を頼まないでしょう。

また、運でうまくいっても何十年と持続させることは本当に難しいですし、あなた自身が今置かれている環境から何が出来るのかを考える、何が活かせるのかを考える、それが大事なのだと思います。

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まとめ

向き不向きがあると考えています。

どっちがいい、ではなく、どっちが合うか、です。

もし学生さんであれば、アルバイトで職人や工場体験が出来ますし、インターンシップを活用すればサラリーマン体験も出来るでしょう。
一度現場を見てみるのもいいものです。

現実的なことは何度も記載しましたが、どちらかを貶める、というのは間違っているかと思います。
どちらの良さも理解した上で仕事に取り組めば、社会人としての幅も広がるのではないでしょうか。

職人の仕事に関しては職種別にこちらでも詳しく解説しています。
よろしければどうぞ↓

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